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2025.04.24
パーキンソン病と筋力トレーニング – 身体機能を維持する方法
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パーキンソン病は、主に運動機能に影響を与える進行性の神経疾患であり、
筋肉のこわばりや震え、バランスの問題が日常生活に大きな支障をきたします。
進行に伴い、患者様の筋力も徐々に低下し、動きが制限されることが増えます。
適切な筋力トレーニングを取り入れることで、身体機能を維持し、症状の進行を遅らせることが可能です。
本コラムでは、パーキンソン病に対する筋力トレーニングの重要性と、実際のトレーニング方法について解説します。


筋力トレーニングがパーキンソン病に効果的な理由

1. 筋力トレーニングの役割


パーキンソン病では、筋力の低下が進行するにつれて、日常生活の動作が困難になることがあります。
筋力が弱まると、立ち上がりや歩行がスムーズに行えなくなり、転倒のリスクが高まります。
しかし、筋力トレーニングを行うことで、筋肉を強化し、関節を安定させることが可能です。
筋力トレーニングは、パーキンソン病の症状を改善するだけでなく、身体機能を維持し、
QOL(生活の質)を向上させるための重要な手段です。
特に、早期からのトレーニングが進行を遅らせ、日常生活の自立を保つために効果的です。

2. 筋力低下とパーキンソン病の関係


パーキンソン病の特徴的な症状として、筋肉のこわばり(リジディティ)や震え(トレモール)があります。
これらの症状が長期的に続くと、筋肉は使われにくくなり、次第に弱っていきます。
また、運動を避けることによる「廃用性筋萎縮(筋肉が使われないことで痩せる現象)」が起こり、症状がさらに悪化します。
筋力トレーニングを行うことで、筋肉の萎縮を防ぎ、筋力を維持することができます。
また、筋肉を使うことで、脳の神経回路が刺激され、運動機能の改善が促進される可能性があります。
このように、筋力トレーニングは身体的な面だけでなく、神経系にも良い影響を与えるとされています。

筋力トレーニングがパーキンソン病に効果的な理由

1. 初心者向けの筋力トレーニング


パーキンソン病の患者様にとって、筋力トレーニングは過度な負担を避けつつ、徐々に筋力を高めることが重要です。
以下は、初心者でも取り組みやすい筋力トレーニングの例です。
          
 スクワット: 足を肩幅に開き、ゆっくりと腰を下ろして立ち上がる動作です。
       下肢の筋力を鍛えることができ、歩行や立ち上がり動作がスムーズになります。
       壁や椅子をサポートに使うと安全です。

 椅子からの立ち上がり練習: 椅子に座った状態からゆっくりと立ち上がり、
              再び座る動作を繰り返すことで、股関節や太ももの筋力を鍛えます。
              この動作は、日常生活の中で頻繁に行うため、トレーニングとしても非常に効果的です。 

 脚の伸展運動: 椅子に座り、片足ずつ前に伸ばす動作です。太ももの前部の筋肉を強化し、
        膝の安定性を高めます。膝の可動域が狭まらないように、しっかりと足を伸ばすことが重要です。
 

2. 中級者向けの筋力トレーニング


ある程度の筋力が備わった段階では、より負荷のかかるトレーニングを取り入れることで、
さらなる筋力強化が期待できます。以下のトレーニングが推奨されます。

 プランク(体幹トレーニング): 両肘とつま先で体を支え、背筋をまっすぐに保つ動作です。
                体幹(腹筋や背筋)の筋力を鍛えることで、姿勢が改善され、
                バランス感覚が向上します。初めは10秒ほどの短時間から始め、
                徐々に時間を延ばしていきます。

 ステップアップ: 段差のある場所に片足を乗せ、体重をかけながらその足で立ち上がる動作です。
         片足ずつ交互に行うことで、下肢全体の筋力をバランスよく鍛えることができます。
 

3. バランスと柔軟性を組み合わせたトレーニング


筋力トレーニングに加えて、バランスや柔軟性を向上させるエクササイズを取り入れることで、
全体的な身体機能の向上が期待できます。
例えば、ヨガやピラティスの動きも筋力トレーニングと組み合わせると効果的です。
これにより、筋力だけでなく柔軟性や姿勢改善にも役立ちます。
 

筋力トレーニングの成功事例

成功事例1: 65歳男性のケース


65歳の男性Aさんは、パーキンソン病の初期に診断され、筋力低下を感じ始めた頃に筋力トレーニングを開始しました。
週に2回、椅子からの立ち上がり練習やスクワットを中心にトレーニングを続けた結果、
数ヶ月後には日常生活での動作が楽になり、歩行も安定しました。
Aさんは、転倒の心配が減り、外出の頻度が増えたことで、生活がよりアクティブになったと語っています。
 

成功事例2: 70歳女性のケース


70歳女性Bさんは、進行したパーキンソン病による筋力低下で、日常生活に支障を感じていました。
筋力トレーニングをリハビリの一環として導入し、太ももや体幹を鍛える運動を毎日少しずつ続けました。
その結果、立ち上がり動作がスムーズになり、家の中での移動も容易になりました。
Bさんは筋力トレーニングを通じて、自分の体の変化に自信を取り戻し、意欲的に生活を送ることができるようになりました。
 

筋力トレーニングで生活の質を向上


パーキンソン病における筋力トレーニングは、身体機能を維持し、日常生活を支える重要な役割を果たします。
筋力の低下は進行性の症状ですが、トレーニングによってその進行を遅らせることが可能です。
また、筋力トレーニングは患者様自身の自信を高め、日常生活における自立を促す効果もあります。
無理のない範囲で、定期的に筋力トレーニングを取り入れ、より快適で活力ある生活を目指していきましょう。




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