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2025.05.13
パーキンソン病治療における最新の薬物療法
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パーキンソン病の治療は日々進歩しています。特に薬物療法の分野では、新しい薬や投与方法が次々と開発され、
患者さんの生活の質を向上させています。このコラムでは、パーキンソン病治療における最新の薬物療法について、
その特徴や期待される効果をわかりやすくご紹介します。


パーキンソン病治療における最新の薬物療法

1. 持続的ドパミン刺激療法


従来の経口薬では、薬の効果に波がありましたが、この療法では一定の効果を維持することを目指します。

1-a) レボドパ・カルビドパ配合経腸用液(LCIG)


特徴:ポンプを使って小腸に直接薬剤を注入します。
利点:薬の濃度を一定に保ち、症状の変動を抑えられます。
対象:経口薬では効果の変動が大きい方に適しています。

1-b) アポモルヒネ持続皮下注射


特徴:皮下に針を刺し、ポンプで薬剤を持続的に注入します。
利点:速やかな効果発現と、症状のコントロールが期待できます。
対象:運動症状の変動が激しい方に適しています。

新しい経口薬

2-a) イストラデフィリン


作用:アデノシンA2A受容体拮抗薬という新しいタイプの薬です。
特徴:ドパミン神経を直接刺激せず、間接的に症状を改善します。
利点:既存の薬との併用で、オフ時間(薬が効いていない時間)を減らせる可能性があります。

2-b) サフィナミド


作用:モノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害薬の一種です。
特徴:ドパミンの分解を抑えるとともに、グルタミン酸の放出も抑制します。
利点:運動症状の改善と同時に、非運動症状にも効果が期待できます。

新しい剤形や投与方法

3-a) ロチゴチン経皮吸収型パッチ


特徴:皮膚に貼るパッチ型の薬剤です。
利点:24時間安定した血中濃度を維持でき、特に夜間や早朝の症状に効果があります。

3-b) レボドパ吸入薬


特徴:粉末状のレボドパを吸入して肺から吸収します。
利点:効果の発現が速く、オフ症状の急な悪化時に使用できます。

遺伝子治療薬(臨床試験段階)

4-a) AADC遺伝子治療


特徴:レボドパをドパミンに変換する酵素の遺伝子を脳に直接導入します。
期待:レボドパの効率的な利用により、症状改善と薬の減量が期待できます。

4-b) α-シヌクレイン標的療法


特徴:異常なα-シヌクレインタンパク質の蓄積を防ぐ治療法です。
期待:病気の進行を遅らせる可能性があります。

既存薬の新しい使い方

5-a) レボドパ・カルビドパ配合経口崩壊錠


特徴:口の中で溶ける錠剤です。
利点:嚥下困難がある方や、早朝の服用に便利です。

5-b) ドパミンアゴニスト長期作用型製剤


特徴:週1回や月1回の投与で済む薬剤です。
利点:服薬回数が減り、生活の質の向上につながります。


まとめ

これらの新しい薬物療法は、個々の患者さんの症状や生活スタイルに合わせて選択されます。
すべての患者さんに適しているわけではなく、副作用のリスクもあるため、医師と相談しながら最適な治療法を選ぶことが重要です。
また、薬物療法だけでなく、リハビリテーションや生活習慣の改善など、総合的なアプローチがパーキンソン病の治療には不可欠です。
このコラムでは、パーキンソン病治療における最新の薬物療法をご紹介しました。
持続的ドパミン刺激療法、新しい経口薬、新しい剤形や投与方法、さらには遺伝子治療薬まで、
様々な選択肢が登場しています。これらの新しい治療法は、症状のより良いコントロールと生活の質の向上を目指しています。
ただし、各治療法には特徴や適応があるため、主治医とよく相談しながら、自分に最適な治療法を選ぶことが大切です。




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